熱帯魚の豆知識

熱帯魚豆知識

~ 知ってると得する!熱帯魚のまめ知識! ~
ちょっとした事だけど、アクアリストとして知っておくべきこと、あまり知られていないけど、知ってるととっても助かること、そんな 『まめ知識』 をお届けできればと思います。

熱帯魚の病気 – その1

どうして病気になるの?

熱帯魚の病気は、飼育環境が適切でなかったり、エサのやりすぎ等で水質が悪化した場合にかかりやすく、新しく入れた熱帯魚や水草、生き餌などが病気を持ち込む場合もあります。いずれにしても、発病すると治療が厄介な病気も多く、病気が進行してしまうと助からないケースが少なくありません。その為に、病気の症状と対処法をしっかり頭に入れて、予防、早期発見を心掛けます。

お魚が病気になったら

熱帯魚の病気は、初期の段階で病気の兆しを発見できれば、水換えや水温調整による環境の改善で自然に治る事もあります。しかし、環境を改善しても治らない場合や、ある程度病気が進行している場合は、市販の魚病薬を投与します。ただ病気ごとに薬が異なるので、病気の種類をしっかりと見極め、適切な量を使いましょう。ナマズや古代魚等、薬に弱い種類は規定量の半分以下に使用量をとどめた方が無難です。また、その魚がかかりやすい病気の薬は常備しておくと安心です。

治療する時は

病気は隔離して治療するのがベターですので、病気治療用水槽を持っていた方が安心です。ただし、水槽全体に蔓延している場合は、水槽内に直接投薬します。投薬後は、魚の様子や水質に気を配りましょう。特に水草はいったん取り出した方が無難です。また、投薬後に水槽をリセットした方が良い場合もあります。

病気は大別すると四種類

まず

  1. 寄生虫による病気
  2. 細菌性の病気
  3. 急激な水質の変化によるペーハーショックや古いエサ等による内臓障害
  4. グッピーエイズなどの遺伝的な病気

などに分けられます。次に、それぞれの病気毎に対処の仕方を書いてゆきたいと思います。

熱帯魚の病気 – その2.寄生虫による病気と対処

寄生虫による病気

寄生虫による病気には、グリーンFや水草に影響の少ないヒコサン(マラカイトグリーン液を含む)が効果的ですが、塩水浴で治る事も少なくありません。

病気の種類と対処方法

 白点病 

【症状】
白点病はヒレや体に白い点が付く病気で、初め各ヒレにに白い点が付き、それが全体へと広がります。進行が早く、全身に広がると衰弱して死亡しますし、エラに付いた場合には呼吸障害を起こします。入荷直後のカラシンによく見られます。

【治療】
白点病はイクチオフィリスという白点虫が寄生して起こる病気で、水温が安定しなかったり、20℃以下になるとかかりやすい病気です。白点虫は高温に弱いので、ごく初期の段階なら水温を30~32℃に上げて、原塩を入れるだけでなくなりますが、さらに、マラカイトグリーンを含むヒコサンを用いると効果的です。早期の発見と治療が重要です。

【うわさ話】
「鷹の爪」が白点病に効き、水草に悪影響がないという話を聞いたことがあります。でも実際に試してみたことはありません(^^;)
試してみられた方がいらっしゃれば、結果を教えて下さいませませ。

 コショウ病 

【症状】
ウーディニウム病とも呼ばれ、白点病よりもさらに細かい点が体表に付着し、病魚はヒレをたたんで、体をふるわせる様な症状を見せます。卵生メダカ、特にノソブランキウス属によく見られます。

【治療】
コショウ病はウーディニウムというべん毛虫の寄生によって起こる病気で、水質の悪化などが原因となります。早期の段階なら水量の0.5%程度の塩水浴で2~3日で治りますが、ヒコサンやグリーンFも効果があります。コショウ病は伝染力が強いので、発病した魚のいる水槽で使った網などは必ず消毒しましょう。

熱帯魚の病気 – その3.細菌性の病気と対処 No.1

病気の種類と対処方法

水性菌(ミズカビ)による水カビ病、エロモナス菌によるマツカサ病やポップアイ、フレキシバクター・カラムナリスという細菌による尾ぐされ病などがあり、黄色い色をしたエルバージュ、グリーンFゴールド、パラザンD、リフィッシュなどの治療薬があります。

水槽の状態が良いと魚の病気はでません。

 水カビ病 

【症状】
体やヒレなどに白い綿状のカビが付く病気で、すれ傷に付く事が多く、他の病気でできた傷から寄生する事もあります。カビが全身に広がったり、内臓まで達したり、エラに寄生したりすると死にいたります。

【治療】
傷口などに水カビ(水性菌)が寄生する病気で、他の病気の二次的な疾病としても起こります。他の魚に伝染する事はほとんどありませんが、病魚は隔離して治療する方が無難です。きれいな水に移し、水量の1%の塩水浴か、ヒコサンなどを投与するのが効果的です。

 尾ぐされ病/口ぐされ病 

【症状】
口やヒレなどが白くなり、やがてはそこが溶けたようになっていく病気で、致死率が高く、グッピーなどは短時間でヒレがぼろぼろになって死んでしまう事もあります。

【治療】
フレキシバクター・カラムナリスという細菌が寄生して起こる病気で、感染力が強い上に、病気の進行が早いので、速やかな対処が必要です。治療には、水量2%の塩水浴をするか、エルバージュやグリーFゴールドの投薬を行うと効果があります。また、発病した水槽や器具は消毒し、病気の進んでしまった魚は処分するしかありません。

スネール「小さな巻貝」を退治する方法

スネール発生!!!

熱帯魚の水檜をセットすると、何処からともなくスネール(小さな巻貝)が発生しているのを多くの方が経験していると思います。このスネールはそのゼリー状の卵が水草などに付着して水槽に入ってきます。

そのままほっておくと、知らぬ間にゴキブリのように増えてしまい、手で取り出しても取り出しても追い付かなくなってしまいます。しかも悪いことに、このスネールは水草の柔らかい新芽を食べてぼろぼろにしてしまいます。

で、魚に退治させるというのが賢明な対策方法です。

スネールを食べる魚で有名なのがトーマシィという小型のシクリッドです。水草レイアウト水槽でも飼育できる便利な魚です。他にも、グーラミィの仲間、ペンシルフィッシュの仲間、淡水フグの仲間などは、スネールを食べてくれます。

ただし、一般に言われているようにスネールを食べるトーマシィや淡水フグがいても、実際にスネールが発生した水槽に入れることは出来にくいんです。 

なぜ・・・?

それは、小型のカラシンが入っている水槽にトーマシィやフグを入れると、小型のカラシンを追い回したり、食べたりするのです。それでは、全く意味がありません。

では、人が手で取ってみるとどうでしょうか?実際にやってみると分かりますが、気が遠くなる作業です。じゃあ、どうすれば良いのでしょうか?
いるんです。他に、スネールを食べてくれる魚が!それも、スネール大好きで、しかも小型カラシンとかには無害です。

その魚は・・・

今回の主役『 クラウンローチ 』 君の登場!

小さなクラウンローチ1匹で60cm水槽なら十分です。キツネが穴の中のモグラを飛んで食べるように、クラウンローチもスネールの中身だけを吸い取るのです。しかも大好きなんです。

これは、リース先の中でスネールが発生していた水槽に、たまたまクラウンローチを入れたところ次の日には少なくなっていたんです。そして、驚いて水槽の中を眺めていると、クラウンローチがスネールを食べるところを見てしまったのです。それ以後は、スネール水槽には全てクラウンローチで対処しています。

このクラウンローチは不思議な魚で横になって寝てしまう唯一の熱帯魚です。死んだと思って間違わない様にしましょう。そんな仕草の為にクラウン(道化師)という名前が付いたのでしょうか?

購入した熱帯魚・水草の水槽への入れ方

購入した熱帯魚や水草の入れ方のポイント

初めて熱帯魚を飼う人にとって、熱帯魚店で魚を選ぶことほど楽しいことはありません。でも病気の魚が1匹いたために、一週間も経たないうちに全滅したという話もよく耳にします。実際に初めての方には、病気の魚がどれなのかも分かません。ましてや、ホームセンターなどの安価で熱帯魚や水草を販売しているお店では、店員さん自体が熱帯魚のことを全く知らなかったりすることが多いです。

魚を入れる時に ‘ゆっくりと水槽の水になじませるように水を入れていく’ ということは、とても難しいことです。魚は、入っていた水質が急に変わると小さな熱帯魚にとってダメージになり、病気が併発してしまいます。

●熱帯魚の入れ方としては・・・

  1. 購入した熱帯魚の袋ごと水槽に20分位浮かべ、水温を合わせる。
  2. 熱帯魚を水ごとバケツなどに移す。
  3. エアーチューブを用いて、水槽の水を少しずつ、熱帯魚の入っているバケツに流す(流し込む水量は一口コックなどで調整)。
  4. 元の水の2~3倍にまで水を増やす。
  5. ネットで魚だけを水槽に移す(元々熱帯魚が入ってた水は水槽には入れない)。
  6. 上記を、魚の入っていた袋ごとに繰り返す(水槽内の水が少なくなるので、あらかじめ水温を合わした水を準備しておく)。

●水草の入れ方としては・・・

  1. 水草に関しては、スネール(水草を食害する巻き貝)の卵が付着している可能性があるので、水道水を流しながら傷つけないように洗います。
  2. ポットに入っている水草などは、ポットから出しロックウールをピンセットやつまようじなどできれいに取ります。鉛巻きの水草は、鉛を取り去ります。
  3. パットなどの高さのあまり無い容器に水を入れて、各水草ごとに植えやすいように処理をして並べます。その際、有茎水草は下の方の葉を取り除きます。アマゾンソードなどのロゼット型の水草では、根っこが長い場合は3cmくらいに切っておきます。

要注意!梅雨時期の水かえ

梅雨に注意していただきたいこと実は、アクアリストとしても毎年梅雨に注意してほしい事があります。それは、梅雨や台風などによって大雨が降った後に水槽の換水をすると失敗しやすいという事なんです。

というのも、熱帯魚のお店を維持管理していく中で、梅雨時にお店の水槽の水を大量に交換して、中に入っていた熱帯魚を数多く死なせた事がありました。20数年間熱帯魚を飼育してきて、こんなことは初めてでした。ショックでしばらく呆然としていました。
 
いつもと同じように換水をしたのになぜだろうかと思案していたら、妻がポツッと 「水が悪かったんかねぇ?」 と言ったのを聞き、すぐに水道局に電話を入れました。そして、通常と変わった事を何かされましたかと聞くと、「消毒薬(カルキ)をいつもより多く入れた。」との返事が返ってきました。

水道水の中にある雑菌を消毒するために入れているカルキも、私たち人間にはあまり影響が無くても小さな魚には影響を及ぼしたのでした。それが量的に多い場合には、浄水器やカルキ抜きなどを投与しても除去できない場合もあるんだという事が分かりました。広島では、きれいな太田川の水を飲料水に使用しているために、以前に住んでいた大阪の淀川の水よりはきれいだと思っていたので少しショックでした。

そのため、大雨などが続く梅雨や台風の時期には、雨の日が続いた後に晴れていても、できれば水槽の換水をしない方が良いようです。またどうしても換水する場合は、少量にしておいて下さい。